ディスポーザーは後付けできるのか?できないのか?

・ディスポーザーは後付けできるの?

・専用の設備が必要と言われるけど?

・ディスポーザーを禁止にしている自治体は?

・戸建てに取り付けても問題ない?

ディスポーザーの後付けに関することを書きました。
「後付け」と言える場面は様々なので、ここでは、ディスポーザーの付いていない建物、あるいは、ディスポーザーを予定していなかった建物に、ディスポーザーを取り付ける場面を前提としています。

そして、下水道に接続されている一般家庭の建物を前提にします。(浄化槽接続や事業場は除きます。)
個人・法人問わず、ご参考にして頂ければと思います。
すぐに、知りたい項目があるときは、目次のリンクをクリックしてください。

ディスポーザーは後付けできるのか?

極論から言えば、ディスポーザーの後付けは出来ます。
しかしながら、人やその立場によって、ものの見方や見解は違います。

ここでは、現在の日本の状況を書いておきます。

ディスポーザーが、どんなものかを知りたい人は、下記のページも参考にしてみてください。

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下水道法で、ディスポーザーは禁止されていない!?

繰り返しになりますが、極論で言えば、ディスポーザーの後付けは可能です。

それは、日本国内でディスポーザーの使用を禁止する法律がないからです。
例えば、下水道法に、ディスポーザーの使用を禁止するものはありません。

下水道は、一般家庭排水を処理するために、税金を投じてつくられたものです。
一般家庭の排水に、放流基準はありません。

したがって、ディスポーザーを後付けしようと思えば、出来るのです。

ディスポーザーは取り付けて良い地域と、取り付けてはいけない地域がある!?

一般的に聞かれる、「ディスポーザーを取り付けてはいけない地域」とは、「ディスポーザー禁止」という事ではありません。

これは大前提として、法律で、ディスポーザーの使用は禁止されていないからです。
法律で許されているものを、条例で禁止にすることは出来ないのです。※1

横浜市を例にとると、横浜市のWEBサイトでは、「単体での設置はしないようお願いしています。」とあります。

参考:横浜市WEBサイト

つまり、ディスポーザーの使用に関して自粛をお願いしているが、禁止ではないという事です。

禁止ではないので、「ディスポーザーを使用しても良い」と考えるかどうかは、人や企業の見解によって異なるかと思います。

そもそも、ディスポーザーは全国的に自粛だった?

「ディスポーザー=禁止」という認識が根付いたのは、かなり前の事になります。

それまでは、ディスポーザーは環境衛生機器に指定されたり、各キッチンメーカーが、キッチンと同時にディスポーザーを販売していた時期がありました。

ところが、その頃の日本では、下水道の普及率や接続率が今ほど高い水準ではありませんでした。

つまり、一般家庭排水が、何の処理もされずに、そのまま公共用水域(河川や湖、海など)に流出している割合が高かったのです。

それで、全国的にディスポーザーの自粛が呼びかけられたのがきっかけとなり、「ディスポーザー=禁止」と認識されるものになっていったのです。

現在は、下水道の普及率が高いのに、ディスポーザーは、何故、自粛になるのか?

現在の全国下水道普及率は、約80%です。
ほとんどの場所で、一般家庭の排水は下水処理場で処理されるようになっており、以前のように、未処理のまま、公共用水域に流出することはありません。

しかし、多くの自治体で、ディスポーザー自粛のお願いは続いています。

それは、ディスポーザーの排水が下水処理設備に及ぼす影響範囲がわからないという事にあります。

先ほどの横浜市のWEBサイトでは、「水再生センター※2への負荷が高まり、処理機能を低下させる恐れがある」と書かれています。

参考:横浜市WEBサイト

つまり、ディスポーザーの排水を下水処理場で受け入れることで、影響が出るかもしれないし、出ないかもしれない。

下水処理設備を保守管理する立場の自治体としては、わからないものに対して、現状では、自粛をお願いするという事なのです。

ディスポーザーの排水は下水道処理設備に影響なし!?国土交通省ディスポーザー社会実験の結果

そんな自治体の懸念をよそに、国土交通省では、ディスポーザーの社会実験をしています。
それが、北海道歌登町のディスポーザー社会実験です。

参考:国土交通省WEBサイト

この社会実験では、ディスポーザーが100%取り付けされたことを想定して、下水道処理設備にどんな影響があるかを調査したものです。

結果、環境負荷は1%未満であり、下水道処理設備にダメージが及ぶ要素はなかったと報告されています。

そして、その結果は、各自治体の下水道管理者がディスポーザーの導入を検討する際の技術資料として提供されています。

ディスポーザーの自粛は、いつまで続くのか!?

下水道処理設備に影響がないことがわかっている現在、ディスポーザー自粛のお願いは、いつまで続くのか?

自粛が続く要因として、「市民からの要望がない」という事と、「下水道の種類によるもの」があると考えられます。

いずれにしても、国のデータは下水道処理設備に影響がないことを示していますが、ディスポーザー導入の可否については、各自治体に投げられているように思います。

各自治体に投げられている状況なのであれば、「市民からの要望」がなければ優先的に導入に向けた検討は始まらないでしょう。

何故なら、役場には優先事項は他にも沢山あるからです。

さらに、都市部では古い下水道が使われており(合流式下水道)、合流式下水道の改善を待ってからディスポーザー導入を検討したいという事もあると思います。

したがって、ディスポーザーに問題のないことはわかっているが、ディスポーザー導入可否を決める地点は、各自治体によって異なるのです。

下水道に影響がないのに、マンションに専用の処理設備は必要なのか?

そんな自粛要請があるディスポーザーですが、その中で、多くの自治体から認められている取り付け方法があります。

それが、ディスポーザ排水処理システムです。

ディスポーザ排水処理システムは、ディスポーザーの排水を直接下水道に流入させないため、下水道処理設備への負担が少ないからです。

現在までに、約76万世帯にディスポーザ排水処理システムは供給されています。
物件数は、約6,000物件が全国にあります。

下水道への影響が少ないことから、古い下水道が残っている都市部では、とくに必要とされていました。

ディスポーザ排水処理システムの登場は、第6次マンションブーム

ディスポーザー排水が下水道処理設備に影響がないのに、何故、ディスポーザ排水処理システムのみが、自治体から推されるのか?

それは、下水道に影響のないことがわかる以前から、ディスポーザーが存在していたためです。

マンションにディスポーザーが初めて登場したのが、1990年代後半です。
第6次マンションブームと呼ばれている時期です。

この頃のマンションは、ディスポーザーを標準装備することで、差別化をはかろうとしていました。

ところが、ディスポーザーについては、全国的に自粛が要請されており、そのままでは、標準装備できません。

そこで開発されたのが、ディスポーザ排水処理システムなのです。

その後、各メーカーで開発されたディスポーザ排水処理システムは、大臣認定を取得し、「排水設備品として適当である」と国土交通省から、各自治体に事務通達がされます。

以降、ディスポーザーを標準装備するマンションや住宅が建築されるときには、各自治体は、ディスポーザ排水処理システムを排水設備のひとつとして扱うようになったのです。

その後、国土交通省の社会実験により、ディスポーザーが下水道処理設備に影響がないことがわかっていくのですが、ディスポーザ排水処理システムとして扱う自治体の方法は、以前のまま残されている訳なのです。

これからの新築マンションに、ディスポーザ排水処理システムは必要なのか?

都市部の多くは、合流式下水道であるため、この合流式下水道の改善が進まないうちは、ディスポーザ排水処理システムの方法で設置されることが推奨されると思います。

合流式下水道は、雨水と汚水が同じ管であるため、晴天時の堆積物が、雨の時に公共用水域に流出するときがあります。

ファーストフラッシュと呼ばれているのですが、雨の初期では、流出した河川の水質が著しく悪くなることがわかっています。

その後、雨が継続することで、希釈され水質は改善されていくのですが、ファーストフラッシュを流出させないことが、公共用水域の水質を守ることにつながると考えられています。

合流式下水道のエリアで、ディスポーザーを使用した場合、その粉砕物などが堆積物として残る可能性があり、ファーストフラッシュで未処理のまま公共用水域に流出する可能性があります。

そのため、マンション建設が多い都市部では、合流式下水道の改善が進まないうちは、ディスポーザ排水処理システムが推奨されると思われます。

下水道の合流改善は、どこまで進んでいるのか?

各自治体の合流式下水道の改善状況は、国土交通省のWEBサイトでデータが公開されています。

参考:国土交通省WEBサイト

国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。…

中小都市と大都市では、改善を終わらせる期間目標も違うのですが、いずれにせよ、平成35年(令和5年、西暦なら2023年)までに、雨天時において公共用水域に流出する汚濁負荷量が分流式下水道並以下に改善することが目標とされています。

合流式下水道改善の先に、ディスポーザーの自粛要請はなくなるのか?

前述の通り、各自治体によって、ディスポーザー導入のスタート地点は異なるはずです。

それでも、現在の日本は、生ごみを焼却処理しています。

国内で稼働している焼却炉の数は、世界1位です。
人口が約3倍いる米国でさえ、稼働している焼却炉は400基を超えません。
逆に日本は、稼働している焼却炉の数が、米国の3倍ほどあるのです。

生ごみは、そのほとんどが水分です。
焼却処理するには、その分のエネルギーが必要です。

水分の多い生ごみを下水道処理設備で受け入れることは、温室効果ガス削減の側面からも、非常に有効な手段と言われています。

合流式下水道の改善が終了する目標年数は、あと数年です。

その時に、各地で一斉に生ごみを下水道で受け入れることが始まっても、不思議ではありません。

下水道のエネルギー拠点化の推進

生ごみは、捨てて燃やす時代から、集約させて活かす時代になっています。

生ごみを集約させて、醗酵させることで、メタンガスなどを抽出できるようになるからです。
再生可能エネルギーです。

国土交通省では、「下水道のエネルギー拠点化の推進」の中で、ディスポーザーを活用した下水道による生ごみの受入を始めています。

参考:国土交通省WEBサイト

国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。…

一部のエリアでは、合流式下水道の改善が終了していなくても、その取り組みを始めた自治体もあります。

生ごみを下水処理場という大きな設備に集約させていくことで、新たなエネルギーを創り出すことができるのです。

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【まとめ】ディスポーザーは後付けできるのか?できないのか?

「分流式下水道のところは問題ないのでは?」とか、「マンションの専用処理設備は不要なのでは?」といった意見が少なくともあります。

多くの自治体では、自粛を要請しているが、ディスポーザーを使用することで、法律上の側面でも問題なく、下水道処理設備に対する技術的な問題もなく、さらに環境負荷もない。

そして、下水処理場を活用することで、新たなエネルギーを創り出すことができる。

ディスポーザー後付けに関して、このような状況に対する理解は、人や企業によって異なると思います。

最後に簡単にまとめておきます。

・ディスポーザーは後付けできるのか?
 →極論で言えば可能。

・下水道法で、ディスポーザーは禁止されていない!?
 →禁止されていない。
 →一般家庭排水の放流基準はない。

・ディスポーザーは取り付けて良い地域と、取り付けてはいけない地域がある!?
 →取り付けてはいけない地域=禁止ではない。

・そもそもディスポーザーは全国的に自粛だった?
 →下水道普及率が低いときに、ディスポーザーが登場したため自粛となった。

・現代の下水道普及率は高いのに、何故、自粛は続くのか?
 →自治体は、ディスポーザー排水による下水道処理設備の影響範囲を把握していない。

・国土交通省ディスポーザー社会実験の結果は?
 →100%普及でも環境負荷は1%未満。
 →下水処理設備に決定的なダメージとなる要素はない。

・下水道のエネルギー拠点化の推進
 →生ごみは燃やす時代から、集約させて活かす時代になっている。

ディスポーザーは日本では、普及していないため、わからない事ばかりだと思います。
そんな時は、いつでも、お問合せをください。

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ディスポーザーの後付け・ディスポーザー交換など、第2の意見が必要な時など、お気軽にご相談ください。

※1 地方自治法14条1項より。地方に何らかの実情がある場合など、この限りではありません。
※2 水再生センターは、下水処理場の事です。

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