マンションディスポーザーのメーカー変更はできる?管理会社の越権行為!?

  • メーカーを変更できないのは本当?
  • 製品認証品なら交換できるってどういう事?
  • 管理会社が居住者のディスポーザー情報を収集している!?どうやって?

ディスポーザーの交換について、管理会社が居住者のプライバシーを侵害しているような事案の相談がありました。

何が問題になったのかを記事にしておきます。
皆様が住まわれているマンションにおいて、ご参考にして頂ければ幸いです。

そもそも、何故、ディスポーザーのメーカーを変えてはいけないと言われるのか?
前段部分は、そこから始まります。
すぐに知りたい項目がある場合は、目次のリンクをクリックしてください。

ディスポーザーのメーカーは変更できるのか?できないのか?

ディスポーザーのメーカー変更は可能です。
それは、大前提として、ディスポーザーは個人の持ち物で財産だからです。

もちろん、何らかの理由があって、居住者と管理組合が合意の上で、メーカーを変更しない場合もあります。その時は、この限りではありません。

冷蔵庫や洗濯機、扇風機など居室内で使用している家電製品にメーカー指定なんてないはずです。

ディスポーザーは個人の財産ですから、変更できないという事はあり得ないのです。

自治体が、ディスポーザーのメーカーを変更できないように指導しているのは本当なのか?

今回の相談者は、管理会社にディスポーザーメーカーを変更してはいけない理由を確認したようです。

管理会社からの回答は、「自治体が、そのように指導しているから」というものでした。
そうであるなら、自治体に確認するのが手っ取り早いので、自治体に直接確認をしました。

もちろん、相談者が居住している自治体にも確認しました。
ここでは、該当地区の自治体以外で確認した、2大都市の東京と横浜市を記載します。
相談者が居住している自治体と、同じような回答になりました。

東京都庁

まずは、横浜市の対応からです。
横浜市では、環境創造局の管路保全課がディスポーザ排水処理システムを担当しています。

・環境創造局管路保全課の某担当者
「ディスポーザ排水処理システムについては、維持管理について変更があるときは、変更内容について書類で提出するように要請しています。
設置されている粉砕装置(ディスポーザー本体)の取扱いについては、管理会社や組合で話し合って決めてください。」

つまり横浜市では、個別の粉砕装置(ディスポーザー本体)のメーカー変更については、何ら制限していない事がわかりました。

次は、東京都です。
東京都は、東京都下水道局の施設管理部がディスポーザ排水処理システムを担当しています。

前知識として、東京都は、粉砕装置(ディスポーザー本体)の交換について要綱を作成しています。
【要綱】ですので、直接住民に向けられたものではなく、行政の内部規範であり、住民の権利を規制し、義務を課すものではありません。
これを理解した上で、確認をしました。

東京都下水道局 施設管理部の某担当者
「粉砕装置(ディスポーザー本体)の交換が、ディスポーザ排水処理システムの改築に該当するものなら、必要書類をもって届出をするようになっています。製品認証を受けたものなら届出を省略することができます。

要綱が作成された背景は、ディスポーザ排水処理システムを製造しているメーカーが、粉砕装置(ディスポーザー本体)を変更すると下水道へ放流する処理水の水質に保証が持てないという主張があったからです。

もともと、メーカーを変更できないというルールはなく、維持管理上の変更があるなら、届出をすることで変更が可能です。

ただ、下水道局としては、処理水の水質に保証が持てないようなディスポーザ排水処理システムの設置を許可することはできません。

下水道協会に問合せしたところ、ディスポーザ排水処理システム性能基準(案)に基づいた、規格適合評価及び製品認証をうけたものなら、粉砕装置(ディスポーザー本体)と処理設備の試験内容が統一されているため、粉砕装置(ディスポーザー本体)と処理設備は、一定の処理性能を持つことがわかりました。

それで、規格適合評価及び製品認証を受けたものなら、届出を省略できるとしたのです。

本来、変更があった場合、届出をすることになっているのは、ディスポーザ排水処理システムの維持管理をしっかりとおこなうことで、下水道にとって悪い排水を放流してもらいたくないからです。

下水道局で粉砕装置(ディスポーザー本体)の交換を制限できるようなことはありません。」という内容でした。

むしろ、「メーカーを変更してはいけない」と主張しているのは、ディスポーザ排水処理システムの製造メーカーであることもわかりました。

※のちに、それは製造メーカーではなく、ディスポーザーメーカーの販売代理店であることがわかりました。

ディスポーザーのメーカーを変更すると、処理設備に影響が出るとは本当なのか?

粉砕装置(ディスポーザー本体)のメーカーを変更すると、処理設備に影響を与えて、下水道へ放流する処理水の水質に影響は出るのでしょうか?

ディスポーザ排水処理システムは、主に、「粉砕装置(ディスポーザー本体)+処理設備(地下に埋設されている浄化槽と同じ機能を持つ構造物)」の2要素で導入されています。

したがって、必ずしも、粉砕装置(ディスポーザー本体)を製造しているメーカーが、処理設備も自社で製造しているという事ではありません。

どちらかと言えば、処理設備を製造しているメーカーは、ディスポーザーメーカーの依頼をうけて製造している場合が多いです。

そこで、ディスポーザー以外でも、様々な浄化槽や処理設備を設計・製造している世界的に有名なメーカーであるK社の技術者に確認してみました。

「浄化槽や処理設備(除害設備など)が影響をうけるのは、どんな水が流入してくるのかという点です。例えば、化学薬品が多く流入するのであれば、それに対応した設備にしなくてはなりません。
ディスポーザーの場合、流入してくるのは、生ごみの粉砕物が混じった水です。

最大限の生ごみが混入している水を受け入れて、例え気温が低温であっても、下水道への放流基準内になるように設計されています。
処理設備が下水道へ放流する処理水に影響を与えるのは、どんな排水が流入してくるのかという事の方が影響が大きいです。

粉砕装置(ディスポーザー本体)が、別メーカーになったとしても、流入してくる水の質は変わりはありません。
そんなことを言ったら、ジューサーミキサーだって使えなくなります。

むしろ、ディスポーザー本体のメーカーが変更された程度で、下水道へ放流する処理水に影響が出るようなら、その処理設備は、性能試験に合格できないでしょう。」との事です。

つまり、ディスポーザーの機種やメーカーの変更で下水道へ放流する処理水に影響が出るはずがないという事なのです。

製品認証品以外は交換出来ない!本当なのか?

前述の通り、自治体は指導するなどはしていませんし、処理設備を製造しているメーカーにいたっては、粉砕装置のメーカー変更程度では影響はないとしています。

つまり、誰も製品認証品以外で交換はできないと言っていないのです。

では、何故、製品認証品以外は、交換できないと言われるのでしょうか?
ディスポーザーメーカーが、そのように主張しているのでしょうか?

ところが、製品認証を受けているディスポーザーメーカーでは、そもそも、製品認証制度に関係なく、当初から、メーカーの変更はしないでほしいとしていました。

これは、給湯器であれ、他の住宅設備機器にも同じ事がいえると思いますが、メーカーという立場から、別メーカーに交換しても影響はないと言い切ることはできないからです。

メーカーは自分たちの製品に対して、責任を持ちますので、メーカー変更して不具合が発生しても責任を負えないからです。

ただ、WEBなどの大手販売サイトでは、「製品認証品のみが交換できる」とし、「届出不要」とまで記載しているところがありました。

製品認証品のみが交換できるとして販売することに、どんな影響があるのかはわかりません。

ただ、管理会社にしてもディスポーザー販売会社にしても、そのような認識を持っているのは、複雑な背景で製品認証制度ができて、それが運用されているからなのだと思います。

管理会社は居住者のディスポーザー情報を把握している!?どうやって情報を集めているのか?

今回の相談は、ディスポーザーの本体交換に関するものでした。

相談者が住んでいる物件は、管理規約に記述はないものの、交換できる機種は、管理会社によって指定されていました。

相談者は、それを認識していたようですが、まわりの評判などから、指定されているメーカーよりも評判の良い国産メーカーのディスポーザーに交換をしたのだそうです。

事態が動いたのは、交換してから半年ほど経過した時だったそうです。

管理会社から突然、通知がきたそうです。

通知の内容は、「指定しているメーカーのディスポーザーではないため、早急に指定しているディスポーザーメーカーの製品に交換してください」というものでした。

相談者は、元々、メーカーや機種が指定されることに疑問を感じていたとの事で、管理会社には何故、ディスポーザーメーカーが指定されるのかを質問したそうです。

管理会社の回答は、「ディスポーザーメーカーが、そのように指定しているから」というものだったようです。

この回答に相談者は、さらに疑問を深めたとの事です。

何故なら、相談者が住んでいるマンションのディスポーザーメーカーは既に倒産しており、メーカーを変更できないという議論以前に、そもそも指定されているディスポーザーメーカーは、後からきている訳で、指定される根拠がないという訳です。

そこで、管理会社に再度、確認をしたところ、「自治体で定められているから」という回答に変わったようです。

自治体がメーカー変更を規制する事がないことは、前述の通りで、相談者が住んでいる自治体も同様の対応でした。

そして、そもそも、管理会社は、相談者がディスポーザーを指定されたメーカー以外で交換していることを、どうやって知ったのでしょうか?

相談者は、同じマンションに住む友人に、ディスポーザーを交換した話などをした記憶はないとの事でした。

管理会社は、宅内に出入り出来る業者を使って、情報収集していた!プライバシーの侵害では?

相談者が管理会社に、どうやって、ディスポーザーを交換していることを知ったのかを聞くと、当たり前のように、「高圧洗浄業務の時に、業者に、どのメーカーが設置されているのか情報収集させた」との回答だったそうです。

もちろん、情報収集が行われることに、事前の通知があった訳でもなく、まして、居住者に情報収集に対する許諾をとっていた訳ではありません。

管理組合すら、知らないうちに、管理会社が業者を使って、情報収集をしていたのです。

その後、理事会にて、管理会社から指定以外のメーカーに交換している居住者が、どの程度いるのか公表されたとの事でした。

メーカー変更で強制撤去。その後、指定されたメーカーに強制的に交換された!?その行為に問題はないのか?

その後、管理会社は、「ディスポーザー専用処理設備保守のため」という理由で、指定以外のメーカーに交換していた居住者のディスポーザー本体を強制撤去する方針を固めます。

そして、指定されているディスポーザーメーカーの本体に交換が行われたとのことです。
その費用は、管理費から捻出されたとの事でした。

相談者は、釈然としないまま、強制交換されたディスポーザーを使っていたのですが、結果、それまで使っていたディスポーザーとは違い、内部が汚れるにつれて臭気が漂うようになり、我慢できなくなって、今回の相談に至ります。

冷静な状態で、この話を聞けば、おかしな事だらけなのですが、これが日本特有の同調圧力とでも言えば良いのでしょうか。

この時は、みな、この決定に従ったといいます。

今回の相談者の内容に、私がアドバイスできるのは、ディスポーザーに関する部分だけです。
どうして、メーカー変更できないと管理会社などは理解していたのかまでは、推測ではあるものの、前述の内容を含めてアドバイスさせてもらいました。

しかし、管理会社が、居住者の使用しているディスポーザーについて情報収集している事や、指定されたメーカーの製品に強制交換されていることについては、管理会社の越権行為である可能性が高いため、相談者には、知人の弁護士を紹介させて頂きました。

【まとめ】マンションディスポーザーのメーカー変更はできる?管理会社の越権行為!?

このような事案が発生するのは、管理会社などが、ディスポーザ排水処理システムには、法的根拠があると理解しているからなのかもしれません。

最後にまとめておきます。

・ディスポーザーのメーカーは変更できるのか?できないのか?
 →メーカーの変更はできる。

・自治体が、ディスポーザーのメーカーを変更できないように指導しているのは本当なのか?
 →していない。

・ディスポーザーのメーカーを変更すると、処理設備に影響が出るとは本当なのか?
 →ディスポーザーの機種が変更された程度で処理設備に影響はでない。

・製品認証品以外は交換できない!本当なのか?
 →誰も、そんな事は言っていない。
 →ディスポーザーメーカーは、当初から、メーカーを変更しないでほしいという方針。

・宅内に出入り出来る業者を使って、情報収集していた!プライバシーの侵害では?
 →プライバシーの侵害である可能性が高い。弁護士さんへ相談するのが一番。

・メーカー変更で強制撤去。その後、指定されたメーカーに強制的に交換された!?
 →納得がいかないのであれば、弁護士さんに相談するのが良い。

ディスポーザーは日本では、普及していないため、わからない事ばかりだと思います。
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