山形県鶴岡市でディスポーザーのモニター調査が始まりました!

・ディスポーザーのモニター調査って何?
・どうしてディスポーザーを調査するの?
・自治体としてどんなメリットがあるの?

山形県鶴岡市で、ディスポーザーのモニター調査が始まりました。
2021年10月に市の公式サイトで募集されていたものですね。

鶴岡市がディスポーザーを検討している内容は、とても先進的で、これからの脱炭素社会に向けた取り組みだけでなく、食品ロス問題にも直結していきます。

ディスポーザー排水が、下水道に悪影響なんて考え方は、古い考えなのです。
自治体がディスポーザーの普及を進めると、社会生活に、どんなメリットがあるのか、そんな事にフォーカスして記事を書きました。

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山形県鶴岡市ってどこ?どんなところ?

山形県鶴岡市は、人口約14万人の東北でいちばん大きな自治体です。
日本海側に位置しており、海も山もある自然豊かなところです。

食べ物では、冬になると、寒鱈汁(かんだらじる)が有名です。
寒鱈汁は、寒ダラの頭からしっぽまで使った「あら汁」の事です。
これは、とても美味しいので、冬の鶴岡に行くことがあったら、おすすめの一品です。

だだちゃ豆も有名です。
一人分がとても多いのです。

鶴岡市は、城下町として発展した町です。
そのためか、商店街も昔ながらの建物が多く、どこか懐かしく感じることができます。

鶴岡公園(鶴ヶ岡城址)の近くに、東北で唯一現存する藩校の「致道館」があります。

鶴岡市では、孔子の「論語」が市内の小・中学生に配布されていて、庄内藩の学びの精神が継承されています。

このような場所で、ディスポーザーのモニター調査が始まったのです。

山形県鶴岡市が、ディスポーザーのモニター調査をする理由は?

鶴岡市がディスポーザーのモニター調査をする理由は、ひとつではありません。
推測になりますが、抜粋するなら、

・「生ごみの減量」
・「人口増加への期待」
・「食品ロス問題への取組み」

などが挙げらると思います。一つずつ、その理由を見てみましょう。

ディスポーザーによって生ごみの減量を実現させるメリットは?

脱炭素社会に向けた取組みとしてメリットがあります。
生ごみは水分量が多いため、燃やして処分するより、水に還して処分する方がエネルギーのロスが少ないためです。

多くの自治体では、生ごみの処分を「焼却処分」しています。
焼却炉は、800度以上の高温を維持しなければならないため、生ごみの水分が邪魔になります。

最近の焼却炉では、ごみ自体を燃料としているところも多く、一度、ごみに火がつけば補助燃料を必要としません。

しかし、生ごみは、そのままでは燃えてくれないため、燃料として使う前に水分を蒸発させるか、他の高燃焼物と混ぜるなどの事前処理が必要です。

そういった事前処理が、エネルギーのロスを発生していると考えられています。

ディスポーザーを扱っている企業のページで、「生ごみを燃やさない=CO2の排出減少=SDGs実現」みたいな事が書かれています。

この手の話をすると、生ごみは、「カーボンニュートラル」だから、燃やしたところで、CO2のカウント増にはならないし、逆に、燃やさなかったからといって、CO2のカウント減ともならないのではないか?。と言われることがあります。

ただ、事前処理でおこなわれる作業については、別であるため、その分がエネルギーロスとなり、また、燃料を使っている場合は、その分がCO2増加の原因になると考えられています。

したがって、生ごみを燃やさないという事は、結果としてCO2の削減につながり、脱炭素社会に向けた取組みの一環となる訳です。

ディスポーザーによって人口増加は期待できるのか?

結論からですが、前例がないため、「やってみないとわからない」というのが本音です。
しかし、ディスポーザーは、人口増加の補助的な役割は果たす可能性があります。

人口を増加させる一番の要因は、その自治体が本来持っている魅力です。
ディスポーザーだけで人口増加の決定打になる訳ではありませんが、地方移住を考えている人には、良いメッセージになると考えられます。

近年はコロナ禍で、リモートワークなどが実践され、会社に通勤しなくても仕事ができることを実感した人や企業が多くありました。

そのため、都市部から地方移住への関心が高まっていることも事実です。

地方移住というのは、以前は「老後のゆっくりした生活を実現させるため」という認識が強かったと思いますが、近年では、その傾向がなくなり、若い世代でも地方移住に関心を持ち始めています。

例えば、東京では2021年の2月に、初めて人口が前年を下回りました。
近県や地方へ転出する人が多くいたのです。

このような人達に、自分達の自治体が持つ魅力を伝えることが出来れば、人口増加の要因をつくり出す事ができます。
ディスポーザーは、都市部のマンションで採用されている事が多いです。

ディスポーザーユーザーが感じるディスポーザーの魅力は、「生ごみの減量」だけではありません。
キッチンでの作業が清潔で、快適になるその魅力は非常に強力で、一度使うとディスポーザーを手放せないという人が多いです。

ディスポーザーの普及を進めている自治体が少ないため、地方移住しても、ディスポーザーが移住前と同じように使えることは、現役のディスポーザーユーザーにとっては、願ってもないチャンスです。

さらに都市部とは異なり、専用の処理槽が不要のため、戸建てでも、集合住宅でもランニングコストは発生しません。
いままでと同じキッチンライフで、なおかつ、環境貢献ができるようになるのです。

ディスポーザーの普及を進めたことで、人口が増加したという前例はありません。

やってみないとわからないことではありますが、自治体が本来持つ魅力を伝えつつ、ライフスタイルの項目にディスポーザーがあれば、少なくとも、現役ディスポーザーユーザーへのPRになると考えられます。

ディスポーザーで、食品ロスに取り組む

生ごみは「出さない」のが一番です。
しかし、人が生活する上で、生ごみを出さないのは、無理な話ですね。

そこで、ディスポーザーで生ごみを粉砕処理し、下水処理場で処理することで、生ごみは再生可能エネルギーなどの一部となっていきます。

下水処理場で発生した汚泥からは、可燃成分のガスなどを取り出すことができます。
生ごみは有機物のため、ガスを取り出す施設のある下水処理場では、何ら問題にはならないのです。

そして、取り出したガスで発電することができるのです。

鶴岡市では、取り出したガスから発電をおこなっています。
その余熱を利用して、野菜をハウス栽培しています。

いままでの生ごみは、焼却処分することが、ほとんどでした。
しかし、ディスポーザーを使うことで、食品(生ごみ)をエネルギー変換し、そのエネルギーを使って野菜を育て、野菜は、再び家庭の食卓に並んでいく。

こういった循環を実現することができるのです。

先進的な取り組み、鶴岡市のBISTRO(ビストロ)下水道

下水道の資源を有効活用して、農業などの生産性を向上させる取り組みを、「BISTRO(ビストロ)下水道」と呼んでいます。
鶴岡市では、この「BISTRO(ビストロ)下水道」を推進しています。

前述の、ハウス栽培のように、下水道の資源を利用して栽培した農産物を「じゅんかん育ち」と呼んでいます。

鶴岡市では、「じゅんかん育ち」のほうれん草を学校給食に提供し、国土交通大臣賞を受賞しています。

いままでは、焼却処分することがほとんどだった生ごみを、ディスポーザーを活用することで、下水処理場でエネルギーに変換し、食品を循環させることができるようになるのです。

鶴岡市は、畜産が盛んだった訳ではありません。そのため、家畜由来の堆肥が不足していました。
そのような背景から、汚泥を使ったコンポストが普及し、汚泥以外の下水道資源についても、農業利用しようという動きが活発になったのです。

鶴岡市は、下水道と食をつなげるBISTRO(ビストロ)下水道による資源循環に、ディスポーザーを加えることを検討しています。
その検討業務の一環で、市民を対象に、ディスポーザーモニターの募集が実施されました。

鶴岡市のディスポーザーモニター参加者は、どんな人たち?

モニター参加者は、全員が鶴岡市在住の市民です。
昨年の10月に鶴岡市のWEBサイトで募集されました。

ディスポーザーを設置するために必要な費用は、鶴岡市の全額負担となっています。
ディスポーザーの利便性を知っている人にとっては、うれしい限りの条件ですね。

募集終了後、モニター候補となった市民の皆様には、ディスポーザーの説明会が実施されました。
内容は、鶴岡市がディスポーザーを検討している目的や、実際に取付けられるディスポーザーの機器説明です。

そして、最終選考でモニターに選出された市民の方のご自宅に、ディスポーザーが設置されました。
モニター調査は、2022年1月から始まっています。

ディスポーザーのモニター調査は、具体的にどんな事をするのか?

実生活におけるディスポーザーの役割をレポートするのが、モニター参加者の取組みとなっています。

ディスポーザーの普及を進めている自治体は、複数ありますが、個別の状況を把握できている自治体は、多くはありません。

例えば、生ごみの量などは、市全体の量や削減量などはデータで見ることができますが、ディスポーザーを使っている世帯での、生ごみ削減量などについて、自治体が把握しているデータは極めて少ないです。

他には、

・ディスポーザーの使用頻度はどの位あるのか?
・燃やすごみを出す頻度は、どの程度変化があったか?
・電気・水道・下水道料金などに変化があるか?
・ディスポーザーで感じるメリットは?
・他の家電製品と比較して利便性は、どの程度のものか?

ディスポーザーのモニター参加者は、このようなディスポーザーを使っている世帯でなければ、わからない事をレポートしていきます。

ディスポーザーのモニター調査期間は、1年間となっています。
ディスポーザーのモニター調査レポートは、大変貴重なデータとなり、ディスポーザーの検討材料として扱われていくことになっています。

今回のモニター調査では、モニター期間が終了した後も、ディスポーザーは継続使用できることになっています。
ディスポーザーは、そのまま、モニター参加者に譲渡されていきます。

鶴岡市がディスポーザーの普及を促進する時期は?

現時点では、具体的な時期は決まっていないようです。

下水道への影響については、国土交通省が実施した「北海道歌登町ディスポーザー社会実験」で、ディスポーザー排水が下水道に決定的なダメージを与えるようなものがない事が証明されています。

そのため、下水道への評価については、検討材料が揃っているため、それほど時間がかかることはありません。
したがって、自治体がディスポーザーの普及を始めようと思えば、すぐにでも始められる状況は整っています。

しかしながら、本当に普及させようと考えた時、ディスポーザーに関与する民間企業や、実際に使用する市民に対して、PRを通じて、ディスポーザーの理解を深めておかないと、普及にはつながりません。

例えば、既にディスポーザーの普及を進めている自治体では、初年度だけディスポーザーの設置台数が伸びますが、2年目以降は横ばいであることが多いです。

原因はひとつではありませんが、一番の原因としては、ディスポーザーを知っている関係者のみが設置をし、その後、何のPRもないためと考えられます。

ディスポーザーは、経験者にとっては、「なくては、ならないもの」ですが、未経験者にとっては、「そうでもない」からです。
したがって、PRされている要素がなければ、自ら欲しいと手を挙げる人は、ほぼ皆無なのです。

毎年、ディスポーザーの設置台数が増加している新潟県南魚沼市

ディスポーザーの普及を進めている自治体で、新潟県の南魚沼市があります。

南魚沼市は、初年度から数年の間、ディスポーザーの設置台数が伸びることはありませんでした。
しかし、近年は、毎年一定数の設置台数があり、継続的に設置台数を伸ばしている自治体です。

ディスポーザーの普及を進めている自治体で、このような自治体はありません。
それは、南魚沼市の民間企業がディスポーザーの理解を深め、イベントや、その他の催し物を通じて、市民に対してディスポーザーをPRしているからです。

とくに、新築戸建てを中心としたハウスビルダーは、新築時の住設機器の一部にディスポーザーを取り入れていることも大きな要因です。

毎年、少なくとも新築は計画されますから、その分が設置台数の伸びとなっていきます。
それ以外では、建築会社のリフォーム部門で、ディスポーザーをメニューに入れていることも大きいです。

そして、何よりも自治体の関係者が、いまでも継続的にディスポーザーを普及させるために、様々なPR活動をしていることが継続的な設置台数増加の要因となっています。

ディスポーザー排水が、下水道設備に影響を与えない事は、国土交通省の社会実験データでわかっていることです。

ただ、影響がないからといって、すぐにディスポーザーの普及を始めても、普及しないのは、これまでにディスポーザーの普及を進めてきた自治体のデータで明らかです。

新潟県南魚沼市のように、毎年、継続的に設置台数を増加させていくためには、これまでディスポーザーに関与した関係者だけではなく、市内の民間企業への周知や、市民への周知などが継続的におこなわれることが重要です。

したがって、いきなりディスポーザーの普及を進めるよりも、段階を踏みながら普及を進めていくほうが、現在の日本におけるディスポーザーの認識には、合っているのかもしれません。

【まとめ】山形県鶴岡市でディスポーザーのモニター調査が始まりました!

山形県鶴岡市で、始まろうとしているディスポーザーの普及は、下水道資源をどのような形で使っていくか、現行のやり方に一石と投じるものだと思います。

日本は、2020年に菅元首相が所信表明で、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体でゼロにする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。

そして、鶴岡市では、「鶴岡市ゼロカーボンシティ宣言」を行っています。

SDGsの17目標で、カーボンニュートラルと関わりがあるものは、目標07「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」と、目標13「気候変動に具体的な対策を」です。

しかし、SDGsは、それぞれの単体目標で達成できるものではなく、地球温暖化対策は、SDGsのすべての目標に何らかの形で関わっていくものです。

山形県鶴岡市の取組みは、すべての問題を解決していくための、新たなステージに突入していると言えます。

最後にまとめておきます。

■山形県鶴岡市ってどこ?どんなところ?
→人口約14万人の東北最大の都市。

■鶴岡市がディスポーザーのモニター調査をする理由
→脱炭素社会にむけた取組み。
→人口増加を期待。
→下水道と食をつなげるBISTRO(ビストロ)下水道による資源循環に家庭系生ごみを加える。

■先進的な取り組み、鶴岡市のBISTRO(ビストロ)下水道
→じゅんかん育ちのほうれん草を学校給食に日本で初めて提供。
→国土交通大臣賞を受賞。

■鶴岡市のディスポーザーモニター参加者は、どんな人たち?
→鶴岡市在住の市民。
→2021年10月にWEBサイトなどで募集された。

■ディスポーザーのモニター調査は、具体的にどんな事をするのか?
→実生活におけるディスポーザーの役割をレポートする。

■鶴岡市がディスポーザーの普及を進める時期は?
→具体的な時期は未定。

■毎年、ディスポーザーの設置台数が増加している新潟県南魚沼市
→一時的な設置台数の増加に意味はない。
→継続的に設置台数を伸ばすためには、段階を踏んでから普及を進める手段もある。

ディスポーザーは日本では、普及していないため、わからない事ばかりだと思います。
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