ディスポーザーで卵の殻は流せるのか?流せないのか?

・卵の殻は、何故、流せないの?

・卵の殻で、排水が詰まるって本当?

・戸建ての場合は?

こんな疑問にフォーカスした記事を用意しました。

ディスポーザーからは、卵の殻はなくなるのに、流してはいけなかったの?
いままで、知らずに、ずっと流していた。。。

なぜ、卵の殻は流せないと言われるのか。
それを、理解できれば、不要なトラブルの回避につながります。

この記事の内容を理解して、ディスポーザーを上手に使いましょう!
それぞれの対応について、すぐに知りたい方は、目次リンクをクリックしてください。

ディスポーザーで処理した生ごみが配管の中を流れるのは何故か?

卵の話の前に、そもそも、ディスポーザーで処理した生ごみが、何故、配管の中を流れていくのか、その原理を簡単に説明します。

皆さんが住んでいる建物の排水管には、必ず、勾配が付いています。

それは、排水された水をスムーズに流下させるためです。

水は、高いところから低いところへ流れていきます。
重力の影響ですね。

流しそうめんを思い浮かべると、イメージしやすいでしょうか。
下から上に流れてくる、そうめんなんてありませんよね。

どんな建物であっても、排水管には、必ず、勾配が付いています。

排水するための適正な勾配は?

排水管の適正な勾配は、目安となる基準があります。
それは、管内流速が、0.6~1.5m/秒の範囲で調整するというものです。

ディスポーザーがない建物でも、固形物は存在します。(トイレもそうですね!)
急勾配の方が良く流れていくイメージがありますが、固形物をスムーズに流すために、前述の管内流速で調整するような基準になっているのです。

急勾配の場合、水だけが先行してしまい、固形物が取り残されてしまうからなんです。
それで、ある程度、排水される水の中で、浮いたり沈んだりしながら、流れていくのが理想なのです。

ディスポーザー付きマンションの最適な勾配は?

ディスポーザー付きマンションであっても、排水管の勾配に関する考え方の基本は変わりません。

配管が急勾配だと、固形物が取り残されてしまうからです。

したがって、ディスポーザー付きの建物だからといって、特別な配管勾配がある訳ではありません。

ディスポーザーシステム協会のガイドラインには、1/50勾配となっていますが、これが、とりわけ急勾配という事ではありません。

ディスポーザーが付いている建物であっても、排水管の勾配に関する考え方の基本は、ディスポーザーが付いていない建物と同じであり、特別な配管勾配があるという事ではありません。

卵の殻は流せるのか?流せないのか?

ディスポーザーは卵の殻を粉砕処理する能力を持っていますが、卵の殻が流せるか、流せないかという点については、ディスポーザーが設置されている環境に左右されます。

配管が固形物をスムーズに流していく勾配になっているとしても、ディスポーザーが設置されている環境は、建物によって異なるためです。

例えば、ディスポーザー付きマンションと戸建てを比べると、ディスポーザーが設置される環境は、まるで違うのです。

ディスポーザー付きマンション排水系統は、3系統に分かれています。
具体的には、「汚水、雑排水、ディスポーザー排水」です。
(汚水=トイレ。雑排水=お風呂・洗面・洗濯など)

戸建て排水系統は、2系統であることが多いです。
具体的には、「汚水、雑排水」です。

(注:雨水管のことは、関係性が少ないため、省略しています。)

ディスポーザー付きマンションでは、ディスポーザーの排水は、単独の系統となっており、キッチンの排水のみが流れています。
一方、戸建ての場合では、キッチンの排水は単独の系統になっておらず、雑排水管として、洗面やお風呂などの排水も、同じ管を流れています。

したがって、設置されている状況によって、管内を流れていく水の量が違うため、ディスポーザーで卵の殻が流せるか、流せないかについては設置されている環境に左右されるのです。

ディスポーザー付きマンションで、卵の殻は流せるか?

ディスポーザー付きマンションでは、卵の殻は流せません。

それは、前述したとおり、キッチンの排水のみが流れる配管になっているためです。

卵の殻は、重く水の中で沈みます
配管の勾配が適正に調整されていたとしても、キッチン排水のみでは、卵の殻を流すための水量が少ないのです。

ディスポーザーを使っている人も、使っていない人も思い返してみてください。
キッチンで水を使っている時間は、一日の中では、それほど時間は長くありません。

キッチンで水を集中的に使う時間は、朝・昼・夜がメインで、なかには、昼は外出しているため使わないという人もいるはずですし、朝も夜も時間は、それぞれです。

そして、ディスポーザー付きマンションのキッチン排水管系統は、最下部でそれぞれの世帯と合流して、ひとつの大きな配管に接続されていきます。

配管の大きさを決める計算方法はありますが、複雑で難しいため、ここでは省略しますが、とにかく大きなサイズの配管に接続されていくのです。

全体水量が少ない上に、大きな配管へ接続されていきますので、卵の殻は堆積していきます。

大きな配管の方が、いっぱい流れていくイメージがあると思いますが、配管が大きくなれば、その大きさに見合った水量が必要です。

配管が大きいのに、水が少ないと、配管内の水深が浅くなり、卵の殻を押し流せなくなるのです。

また、居住区内にある配管内に残った卵殻は、年一回実施される高圧洗浄作業においてリスクになります。
高圧洗浄作業中に、堆積していた卵殻が、一ヶ所に集約されて配管閉塞を引き起こすことがあるのです。

もちろん、作業している業者さんは、プロフェッショナル集団ですから、そういったリスクを軽減する作業方法をしています。
しかし、配管内部を目視しながら作業できるわけではありませんので、リスクをゼロにすることは出来ません。

高圧洗浄作業中に、配管閉塞が発生すると、近い世帯のキッチン排水口へ逆流して溢れ水による浸水被害が発生することがあります。

そのようなトラブルが起きた時は、いつも、高圧洗浄作業をした業者さんに責任を求める組合や管理会社が多いのですが、第三者目線で見れば、そもそも、卵の殻を流していることに問題がある訳で、ディスポーザー付きマンションにもかかわらず、ディスポーザーのないマンションと同額で作業している業者さんは、もはや、ボランティアで作業しているのに等しいです。

ディスポーザーには、卵の殻を処理する能力はありますが、ディスポーザー付きマンションでは、このような理由や背景から、卵の殻は流すべきではありません。

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戸建ての場合は、流せるのか?

基本的に、卵の殻を流しても問題はないです。
戸建ての排水系統は、「汚水・雑排水」の2系統であることが多いからです。
(汚水=トイレ。雑排水=キッチン、洗面、お風呂、洗濯など)

雑排水の水量が多いため卵の殻を押し流すだけの搬送力があると考えることができます。

例えば、キッチンの水仕事が終わったあとでも、洗面を使ったり、洗濯をしたり、とくにお風呂の排水は大量の水が一気に流れていきますよね

その時に、堆積していたものを、押し流していきます。
もちろん、雑排水系の上流側にキッチン排水がある場合は、その他の雑排水が合流してくる部分までの配慮は必要です。

とくに、その間の距離が長ければ長いほど、結果、ディスポーザー付きマンションと同じ状況が、そこにはありますので、注意する必要があります。

また、戸建ての場合には、「下水道」接続ではなく、「合併浄化槽」で処理している場合もあります。

これについては、配管とは別の話になりますので、またの機会に!

戸建ての場合は、排水系統として、ディスポーザー付きマンションより条件は良いのですが、キッチン排水の位置によっては、配慮が必要です。

集合住宅(ディスポーザー付きではない)の場合は?

基本的に、卵の殻を流す事ができます。

ディスポーザーが付いていないマンション排水系統は、2系統(汚水・雑排水)のため、配管内の水量が多く卵殻を押し流す搬送性があると考えることが出来るからです。

これは、戸建ての時と似ています。

しかし、戸建ての例と同じように、キッチン排水が雑排水系統の上流側にある場合は、その他の雑排水が合流してくるまでの間は、配慮が必要です。

卵殻に限ったことではないのですが、群馬県伊勢崎市では、ディスポーザーの推奨を開始する前にディスポーザーの付いていない集合住宅2物件において、ディスポーザーが後付けされた状況と、後付けされていない状況のテストをしています。

その時の結果では、ディスポーザーが付いていないマンションで、ディスポーザーを後付けしても、問題のないことがわかりました。

少し皮肉っぽい結果になるのですが、配管内の汚れについては、ディスポーザーが付いていないマンションより、ディスポーザーを後付けしたマンションのほうが、綺麗だったことも確認されました。

 

ディスポーザーが付いていない集合住宅では、卵の殻を流す搬送力はあると考えられますが、戸建てと同様に、キッチン排水がどこにあるかで、その間は配慮が必要と言えます。

【まとめ】ディスポーザーで卵の殻は流せるのか?流せないのか?

ディスポーザーには卵の殻を粉砕処理する能力があります。

しかし、卵の殻を流すか流さないかの判断は、設置されている環境に左右されていることを認識して頂ければ、不要なトラブルに見舞われることなくディスポーザーを使う事ができると思います。

キッチンがあるところ(扱っている)には、タイミングを問わず、ディスポーザーの問合せが入ります。

そんな時に、『ディスポーザーで卵の殻が流せるのか・流せないのか?』の内容が、少しでもお役に立てれば幸いです。

最後に簡単にまとめておきます。

・ディスポーザーで処理した生ごみが配管の中を流れるのは何故?
 →それは、重力で流れるように勾配が付けられているから。

・排水するための適切な勾配は?
 →0.6~1.5m/秒の範囲で流下していくように調整されている。

・ディスポーザー付きマンションの最適な勾配は?
 →ガイドラインでは、1/50とされているが、特別な勾配という事ではない。

・ディスポーザーで卵の殻は流せるのか?流せないのか?
 →ディスポーザーには粉砕処理する能力はあるが、流せる・流せないは、ディスポーザーの設置されている環境によって影響をうける。

・ディスポーザー付きマンションの場合は?
 →卵の殻は流せない。

・戸建ての場合は?
 →卵の殻を流せる。

・集合住宅(ディスポーザー付きではない)の場合は?
 →卵の殻を流せる。

最初は、ディスポーザーに慣れていないため、硬いものなどを流すのに抵抗があると思いますが、この記事に書いてあることを思い出して頂ければ、ある程度、ざっくりした使い方でも、問題が発生することは、ほとんどありません。

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